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ベルリン・天使の詩
Der Himmel über Berlin/Wings of Desire


制作年 1987 Scene1
邦題ベルリン・天使の詩
原題Der Himmel über Berlin/Wings of Desire
ジャンルドラマ
時間 128分
フイルム 35mm
カラー カラー・モノクロ
製作国西独=仏
製作会社ロード・ムーヴィーズ/アルゴス・フィルム/WDR
製作製作総指揮:イングリット・ヴィンディシュ<Ingrid Windisch>/
製作:ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>/アナトール・ドーマン<Anatole Dauman>
監督ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>
脚本ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>/ペーター・ハントケ<Peter Handke>
撮影アンリ・アルカン<Henri Alekan>
編集ペーター・ブルツィゴッダ<Peter Przygodda>
音楽ユルゲン・クニーパー<Jürgen Knieper>
出演ブルーノ・ガンツ<Bruno Ganz>(ダミエル)/
ソルヴェイグ・ドマルタン<Solveig Dommartin>(マリオン)/
オットー・ザンダー<Otto Sander>(カシエル)/
クルト・ボワ<Curt Bois>(老詩人ホメロス)/
ピーター・フォーク<Peter Falk>(ピーター・フォーク)/
ラジョス・コヴァーチ<Lajos Kovacs>(サーカスのトレーナー)/
ローラン・プティガン<Laurant Petitgand>(サーカスの楽士)/
ニック・ケイブ&ザ・バッド・シーズ<Nick Cave & The Bad Seeds>(ロックグループ)


Scene2
■ 内容

ベルリンの街、塔の上から人々を見守っている天使ダミエル。ダミエルには人々の心の中の声が聞こえる。天使の姿は大人には見えないが、子供には見える。ダミエルは親友の天使カシエルと今日見た人々の様子や自然の姿について情報を交換する。ダミエルは永遠の霊であり続け、人間に対して声を聞くだけで何も関与することができないことに嫌気がさしている。
映画俳優のピーター・フォークがベルリンに撮影のためやって来る。彼の出演している映画を撮影しているスタジオには様々な人々がうごめいている。
ある日ダミエルはサーカスで空中ブランコを練習しているマリオンに一目惚れする。ピーター・フォークは大人なのに何故かダミエルが見えるらしい。見えないが気配を感じると言う。そして人間になることを勧めた。ダミエルはカシエルにマリオンに恋をしたことを告げ、人間になることを決心する。彼はカシエルの腕の中で死んだ。そしてベルリンの壁の側で目を覚ましたダミエルにはモノクロの世界に色がついている。そして天使のときに着ていた甲冑が落ちてくる。
ダミエルはその甲冑を質に入れて、服を買い、まずはピーター・フォークに会いに行く。一度も顔を見たことがないのに、フォークにはダミエルがわかった。そしてマリオンに会いに行き、マリオンもダミエルが夢の中に出てきた男だということに気づく。
二人は空中ブランコの練習をしている。

■ 感想

Als das Kind Kind war,
ging es mit hängenden Armen,
wollte, der Bach sei ein Fluß,
der Fluß sei ein Strom
und diese Pfütze das Meer.
Als das Kind Kind war,
wuß te es nicht, daß es Kind war,
alles war ihm beseelt,
und alle Selen Waren eins.

最初の一節だけ抜き出したが、これがハントケの「わらべうた」と題された詩。映画の冒頭突然この詩の手書き映像で始まり、ブルーノ・ガンツが読んでいる。いや、のっけから強力なパンチをくらった気分だった。これはまさに「やられたな」って感じだった。
日本では「パリ、テキサス」より実は一般的にはこちらの方が知られているのではないかと思われる。日比谷シャンテ・シネの開始第2作目で、かつロングランとなっていた。

ヴェンダースとしては「パリ、テキサス」をもってアメリカのみならずヨーロッパでも成功を収めた後、自分の原点であるドイツ、ベルリンに帰って映画を一本撮った。1986年のベルリンの壁が大写しになる、歴史的にも記念碑的な作品となった。
実際は「パリ、テキサス」の後、前に撮影してあった「東京画」の編集をし、その後は「アメリカの友人」以後ずっと企画中であって「夢の涯てまでも」のロケハン旅行をしていた。しかしアイディアと脚本が膨大になってしまったため、ちゃんとした脚本家を捜して資料を渡し、シナリオにしてもらおうと依頼していたところだった。そのため撮影には入れなかったため、急遽撮影してしまった映画だ。こういうパターンで撮影した「ニックス・ムービー」「ことの次第」と同様、素晴らしい作品となった。

モノクロからカラーへの写り方が少々あざといのが気になるが、それも演出効果としてはわかりやすいのでよしとしよう。ピーター・フォークという役者を得たことによって、少し楽しい映画になったことが成功の秘訣かなと思う。
図書館のシーンが好きだ。クルト・ボウが現代によみがえる老詩人ホメロスの役をやっているが、イメージとしてはボルヘスだろう。ここはベルリン市立図書館だが、元はプロイセンの帝国図書館であるため、非常に素晴らしい作りの図書館である。ほかに印象深いのは天使がよく休んでいる女神像、ピーター・フォークの撮影現場などがある。

ヴェンダースとしては「パリ、テキサス」でいったん旅は終わり、そしてトラヴィスとともに去っていったわけで、次の旅は本当は「夢の涯てまでも」での世界一周なのだが、その前にドイツで一本撮影したのはよかったと思う。とても過渡的な時期だったに違いないのだが、美しい小品が出来たのは偶然なのだろうか。この後「ブエナビスタ・ソシアル・クラブ」で蘇るまで、シネアストではない人には10年くらい何をやっているのかわからない状態になる。

思うに、「パリ、テキサス」で解放された「男女の愛」を描く欲望が、この映画で本格的になってしまったことが原因かもしれない。見る方としてはそんな気がする。フランス語の題名が「欲望の翼」となっているが、これは原題の仏語訳があまり音感としても意味合いとしてもよくなかったためつけたそうだ。天使ダミエルのアリオンへの愛の欲望の意味だそうだ。うーん。よくないなぁ。


1988年4月 フランス映画社配給
1987年カンヌ映画祭最優秀監督賞受賞
1988年ロサンジェルス映画批評家協会賞外国映画賞
1988年バイエルン映画賞監督賞
1988年連邦映画賞金のフィルム賞(製作・撮影)
1988年ヨーロッパ映画賞監督賞&助演男優賞(ボワ)
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