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まわり道
Falsche Bewegung


制作年 1975 Scene1
邦題まわり道
原題Falsche Bewegung
ジャンルドラマ
時間 104分
フイルム 35mm
カラー カラー
製作国西独
製作会社ゾラリス・フイルム/WDR
製作ペーター・ジュネー
監督ヴィム・ヴェンダース<Wim Wenders>
脚本ペーター・ハントケ<Peter Handke>
撮影ロビー・ミュラー<Robby Müller>/
マルティン・シェーファー<Martin Schäfer>
編集ペーター・ブルツィゴッダ<Peter Przygodda>
音楽ユルゲン・クニーパー<Jürgen Knieper>
出演リュディガー・フォーグラー<Rüdiger Vogler>(ヴィルヘルム)/
ハンナ・シグラ<Hanna Sehygulla>(テレーゼ)/
ハンス・クリスティアン・ブレヒ<Hans Christian Blech>(ラエルテス)/
ナスターシャ・キンスキー<Nastassja Kinski>(ミニヨン)/
ペーター・カーン<Peter Kern>(ランダウ)/
イヴァン・デスニー<Ivan Desny>(実業家)/
マリアンネ・ホッペ<Marianne Hoppe>(ヴィルヘルムの母)/
リザ・クロイツァー<Lisa Kreuzer>(ジャニーヌ)


Scene2
■ 内容

北ドイツのグリュック・シュタット(幸福の街)に母と二人で暮らす青年ヴィルヘルムは作家志望だが何も書けない焦燥感を抱いている。母親はそんな彼に金を工面し、「人生を知るために」旅に出るよう勧める。ヴィルヘルムはガール・フレンドとも別れ、ボン行きの列車に乗る。
列車の前の席に老人と口のきけない少女がいる。乗り換えた駅で向かいの列車に乗ろうとしている女性と目があった。そのまま見つめ合うが、平行に走ってやがて分かれる列車。老人と少女がヴィルヘルムを追うようにして乗り込んで来る。老人がその女性を女優のテレーゼ・ファルナーだと教える。車掌が来て老人と少女の分が切符代をたかられる。実は車掌が彼女からの伝言を預かっていて、それが老人の手にあるとつげ、ヴィルヘルムに電話番号が書かれた紙片を渡した。ボンに着くと3人は同じホテルに泊まる。ヴィルヘルムは迷いながら電話をする。
翌朝食堂でヴィルヘルムがラエルテスに詩を聞かせる。3人は街に散歩に出るが、食堂にいてヴィルヘルムの詩を聞いていた青年ランダウが後を追って来る。街の広場でヴィルヘルムはテレーゼと落ち合う。ランダウが自分の詩も聞いて欲しいと朗読を始める。
5人になった道連れはテレーゼの運転する車で旅を続ける。ランダウがライン川の丘陵にある金持ちの叔父の家へ行こうと誘うが、出てきたのはまるで別人だった。家を間違えたらしいが、主の実業家は一行を歓迎する。彼は3ヶ月前に妻が病苦で自殺し、自分も自殺しようとしていたと語る。
翌日6人で昨夜見た夢の話をする。ライン川を臨む山道を散歩しながらヴィルヘルムは政治と詩の合体の可能性を問い、ラエルテスはかつてナチだったことを語る。一行が屋敷に戻ると、実業家が首を吊って自殺していた。慌てて旅立つ5人。
雨の中、ランダウが一行から立ち去る。4人はフランクフルトのテレーズのアパートに入る。フランクフルトではヴィルヘルムは小説を書き始めるがそれが元でテレーズと諍いをする。ラエルテスはミニヨンを連れ、傷痍軍人のふりをして物乞いをする。ヴィルヘルムはそんなラエルテスの様子を見て次第に殺意を募らせ、マイン川のフェリーの上で首を絞めて殺そうとするが、思いとどまる。ラエルテスはミニヨンをおいて逃げて行った。
テレーズ、ミニヨンと別れ、ヴィルヘルムは国境付近のツークシュピッツェ峰に向かい、そこで自分の動きが間違っていることを実感する。

■ 感想

ゲーテの「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」を出発点として、ハントケがシナリオを書き下ろした作品。だからゲーテの作品を原作とするのはあまりにもかけ離れているので避けたいと思う。だが、ヴィルヘルムという主人公の名前は同一。そして「ファウスト」のベアトリーチェと並び、ドイツ文学史上もっとも有名な女性のうちの一人であるミニヨンもそこから取られた名前である。

個人的に、ゲーテの著作の中では「ヴィルヘルム・マイスターの修業時代」がもっとも面白いと思う。主人公が成長する過程を描く教養小説の見本であり、多少長いが一種の冒険劇として読むこともできる。
人生を探すため、北海に近いエルベ川沿いのグリュックシュタットから北ドイツの代表都市ハンブルクへ、ドイツ中央部のボンを経てフランクフルト近郊、そしてオーストリア国境付近の最高峰ツークシュピッツェ峰へと南下する旅に出た青年は結局一歩も動いていないのと同じだった。原題の""Falshce Bewegung""とは「間違った動き」という意味。最後の台詞は「どうやら、何かし損なったようだ。動く度に何かをし損なう。」 つまり、現代では旅によってアイデンティティを追求するということは不可能なことであることを示している。

ロード・ムービー三部作唯一のカラー作品なのでドイツのきらきらした風景を見ることができる。暗いばかりがドイツではない。

この映画にはヴェンダースがディスコで見つけた女の子をスカウトし、家に行ってみたらクラウス・キンスキーの家だった、という有名な逸話がある。ナタ・キン14歳のデビュー作。台詞なし、ヌードありとは…。


1977.1.25 欧日協会配給/1989年再公開 フランス映画社配給
1975 ドイツ連邦映画賞
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