せっかく「リスボン物語」で本来の音楽と映画のコラボレーションに戻ったのに、ライ・クーダーと約10年ぶりに組んだのだから、彼とだけしっとり映画を作ればよかったのに。しかも大作でもなんでもない待ち時間の3ヶ月に作った小さなシンプルな映画だった筈なのに。再び豪華アーティストの競演になってしまった。しかも、ライ・クーダーのオリジナルスコアと別々にして2枚で出すという豪快な荒技。しかし両方ともオープニングはこの映画のテーマ曲「Define Violence」(ライ・クーダー)なのだ。
とは言え、これまでのような超豪華ということではなく、あくまでもライ・クーダーの音楽に沿った形でアーティストが選ばれている。ロス・ロボスはラテン系だし、ラウル・マロやウィスキータウンといったカントリー系のミュージシャンの手による音楽は全体の統一感を保っている。主人公が身を隠す家族がメキシコ系であることと関係あるかもしれない。
そこで若干浮いているのがU2である。脚本のニコラス・クラインを紹介してくれたのがU2のボノだったせいか、無視できなかったんだろうなぁ。
|